「ニュータイプの時代」を読んでみての要約と感想まとめ

今話題の山口周さんの「ニュータイプの時代」を読んでみての感想とまとめです。

どんな話だったかと最初にまとめますと、

  • 論理的で勤勉で責任感の強いいわゆる優秀な人材はオールドタイプになる
  • 自由で直感的でわがままで好奇心の強い人材がニュータイプになる

という話です。

このまとめを読むと「いやそんなことよく聞いたことがある話ですやあん、ええ」となってしまうかもしれませんし、正直僕も最初そのように思ってしまったんですが、もうちょっとだけお付き合いください。この本では「なぜニュータイプが台頭するか?(Why)」そして「具体的にどのような人材が求められているか?(How)」について記されており示唆に富んだ内容でしたので。

ニュータイプとはどんな人材か?

ニュータイプの時代

問題を見つけ、未来にビジョン(構想)を掲げ、意味(ストーリー)をつくり、組織を鼓舞し引っ張れる、自分本位のわがままな人間です。

役立たないけど意味があるものに価値が生まれる

なぜニュータイプが求められるのか?という話がこの書籍のセンターピンなのですが、本書の中で最も美味しいところをまとめると、タイトルの通り「役に立たないけど意味があることに価値がある」という話に集約されるかと思いました。

(↑この記事読めば本を読まずとも大枠理解できると思います)

役に立たないけど意味があることってなんのこっちゃということですが、最もわかりやすい例が「バルミューダ」という家電製品です。

BALUMUDA

わかりやすい例でいうと、バルミューダをみなさんはご存知ですかね。トースターで一世を風靡した会社です。まさにそのバルミューダは、値段がふつうのトースターの10倍はするわけです。一番安いトースターって2,000円で買えますが、20,000円のトースターを売り出して、本当に「買ってくれる人だけ買ってくれればいい」というので、ニッチとメジャーで棲み分けるっていう構造になってたわけです。

役に立たないとは言いません。でも2000円のトースターより、10倍役に立つのかと言われたらきっと違いますよね。「役に立つ」というところを追い求めるとこうゆういろんなボタンがあってなんでもできちゃうトースターができるわけです。

象印

しかし、バルミューダは違います。語弊を生むかもしれませんが、「焼く前に水を入れると、驚くほど中はふんわり外はカリッとした美味しいパンができる」という機能のみ。

当然他の電子レンジだってそれに近しいことができるはずであり、10倍の美味しさになるとは思えません。では何が違うのか?それは「ストーリー」であり、「意味」があるのです。

印象的なのが、バルミューダーのホームページ。そこには「ストーリー」というページがあるんです。

私が高校を中退して放浪の旅に出たのは、17歳のときでした。スペインやイタリア、モロッコなど、地中海沿岸を約一年間、一人でまわりました。とても楽しく、寂しく、刺激的だった忘れられない旅です。その初日のこと。日本から飛行機や列車、バスを乗り継ぎ最後は徒歩で、目的地のロンダにたどり着きました。私は緊張からかあまり眠っておらず、疲れきっていて、かつ空腹でした。街角では香ばしい香りがしていて、探してみると一軒の地元のベーカリーが。話せないスペイン語で焼きたてのパンを分けてもらい、一口かじった時、涙が溢れるように出てきました。緊張や疲労、そして希望と不安。香ばしいパンを食べた時、これらの感情が堰を切ったように体の外に出て行ったのです。あの時の小さなパン。その香りと味は、今でも忘れられません。

ストーリー | BALMUDA The Toaster

こんなページ、TOSHIBAでもHITACHIでもPanasonicでもみたことないですよね。

こうゆうストーリーがあったり洗練されたデザインを見ると、「2万円でも安いよな」という感覚に不思議となっていきます。これが著者が言う「役立つより意味がある に価値がある世の中になっていく」なのでしょう。

では、なぜ「役に立つモノ」がだめなのでしょうか?当然ながら役に立つモノがいいに決まっています。

しかし著者は「役立つモノ」に対して厳しい見解を示します。その理由は下記の通り。

  • 「役に立つモノ」の領域は相対評価が起こりやすい
  • 長期的にみると市場に生き残るのは一社だけ
  • そもそも今の現代社会において「問題」自体が少ない

相対評価はこれからどんどん厳しくなる

評価には絶対評価と相対評価という2つの評価があります。

たとえば会社に事務処理の早いAさんとAさんの半分しか生産性がないBさんがいたとします。AさんはBさんより2倍の生産性なので、お給料が40万。BさんはAさんの1/2なので20万もらっていたとします。これが絶対評価です。

では相対評価とはなにか?たとえば世界で最も使いやすい検索エンジンAと世界で2番目に使いやすい検索エンジンBがあったとします。

殆どの人、おそらく90%以上は検索エンジンAを使うでしょう。

では検索エンジンAと検索エンジンBの収益性は絶対評価と同じようになりますでしょうか?なりませんね。2倍の評価ではなくほとんどの収益がAに傾くはずです。

事実、検索エンジンを独占しているのはGoogleのほぼ一人勝ちなわけです。

このように「役に立つ」という市場では相対評価が起こりやすいのです。

これは色々な市場でおきています。既存産業は当然のことながらウェブ業界で昨今話題になっている市場などなどすべての市場で起きています。

  • 決済アプリ
  • タクシー配車アプリ
  • フードデリバリーサービス
  • フリマアプリ
  • 人材紹介サービス

これらのサービスはユーザーからしたら正直1社でいいわけです。

PayPayもLinePayもおりがみPayも正直どうでもよくてSuicaでいいのでは?と思ったことはないでしょうか。私は結構あります。

各社色々と「意味」を持たせようとしていますが正直なところユーザーからしたらどれでもいいわけです。もっとも楽で役立つものを選びたいはず。メルカリも楽天のフリマアプリもどっちでもよくて、役立つ方、たくさん売れる方の一択でいいわけです。

「役立つモノより意味があるモノ」のほうが戦いやすい

対して、「意味がある」という市場は戦いやすいのです。それはどうしてか?コンビニにたとえると非常にわかりやすいです。

コンビニにならぶ役立つモノといえばホッチキスやガムテープ、ハサミなどがありますね。スペースとしてはどうでしょう?かなり限られた空間で商品の種類も1種類、多くて2種類くらいではないでしょうか。

対して、たばこはどうでしょう。多くの銘柄の商品が置いてありますよね。マルボロを吸いたい人は、マルボロ以外の選択肢はないわけで、ピースを吸いたい人はピース以外の選択肢はないわけです。喫煙者によく「なぜそのたばこを吸うの?」と質問すると、「xxのドラマでxxが吸っててかっこよくてそれ以来…」とか「この銘柄はね、実はアメリカの…」などのウンチクを聞くことがけっこうあります。これは「意味のあるモノ」の最たる例です。

つまり、「意味のあるモノ」の特徴をまとめると

  • 意味がある・ないという軸は絶対評価であることがほとんど
  • 競合がいたとしても、意味さえあれば戦える

ということになります。

他にも「役立つ」という市場で戦うべきではない理由があります。それは「そもそも現代社会において解決すべき問題自体が少なくなってきている」というものです。

現代人は貴族並みの生活水準

世の中の人が「これが問題だ」「あれが問題だ」ってことをずっと言ってくれれば、その問題に対して正解を出せばいいわけですから、正解が希少な状況では正解を出せる人に価値が上がります。

しかし今、世の中の人に聞いても、ほとんど問題を抱えてません。今の日本の平均的な暮らしぶりって、18世紀の江戸時代の将軍と同じぐらい豊かですから。毎日お酒を飲めて、お風呂に入れて、音楽が家の中で聞けて、映画も見れるわけですね。昔の王侯貴族だってこんな生活してないわけで。

確かにその通りだなと言う指摘です。

たしかにネットとAmazonとNetflixとiPhoneさえあればとても豊かな暮らしをできる気がします。これは私がネット廃人だからかもしれませんが。

だからといって解決しなければならない課題がないということではありません。もちろん。環境問題や差別問題、貧困問題、、、あげていけばキリはないですが、”先進国においては”日常を生活するうえで基本的にはわたしたちはかなり幸せな生活水準を担保できているとおもいます。

50年前であれば話は変わるでしょう。ほとんどインフラはなく、解決すべき課題だらけでした。友達と連絡とることひとつとっても相当なコストがありました。

しかしいまはLINE1つで電話から決済からメールからニュースからなんでも解決できてしまいます。

このような時代背景を考えると「役立つもの」という市場ではある特定の企業の一人勝ち減少が起きてしまうというのが「役立つもの」より「意味」をもたせる市場で戦うべきという意見につながります。

この話「好きなことを仕事に」に似てる。

先日book & apps の記事で「いつの間にか「好きなことをしていい」時代から、「好きなことをしないと豊かになれない」時代に変わった。」が投稿されました。簡単に要約すると「好きなことを仕事にしたほうがいい から 好きなことじゃないと仕事にならなくなってきてる」という話です。

この話、「ニュータイプの時代」に書いてあることと似ているなと思いました。「役立つこと、儲かることという視点では仕事は成立しづらくなってきていて、意味をもたせられることをしないと仕事がなくなる」という話ですからね。

まぁ似てますよね。

「好き」な領域は意味を持たせやすい

なんで似ているのかというと、これに尽きるのかなと思います。よく聞く話の「筋トレが好きでインスタグラムで発信していたら仕事になってしまいました」といった分類のものです。

好きの分野は相対評価よりも、絶対評価が強く、個人の趣味趣向が反映されやすいわけです。それは有形無形問わずどんなプロダクトでもサービスでもそうです。

なぁんだ、結局良く言う「好きを仕事に」って話か、と肩を落として欲しくないのですが、この事実はどうしても避けられないことであり本質的なことなのでしょう。とはいえ本書のよかった点は、一辺倒に「好きを仕事に」と言うアプローチではなく、ロジカルに時代変化や今の世の中で求められていることを多くの事例を載せて紹介しているところでしょうか。

また、個人的には、役に立つと意味を持たせるのバランスの重要性についての示唆が大変な学びとなりました。今、自分が「役立つ市場」でサービス運営をしているので、「意味」を持たせるならどうすればいいのか?そもそも今のサービスプロダクトにおいて「意味」ってなんだっけ?ということを考えるいいきっかけになりました。

最後に本書の概要をまとめると、

  • 意味があるモノ は自分の好きとか価値観とかストーリーが反映される
  • 意味があるモノ は競合がいても戦える
  • 意味があるモノ は価格設定を高めやすい(比較対象がないから)
  • 役立つモノ と 意味がある のセットがサービスとしては最強
  • その代表例はApple
  • 役立つモノ の市場だけで戦うなら圧倒的No1意外の選択肢はない
  • 長期的に見るとグローバルとも戦うことになる
  • 長期的に見ると「ニッチ x グローバル x 意味がある」が良さそう

こん「好きを仕事にしようね」という単なるゴリ押しの自己啓発本ではなく、Why?(時代背景)やHow?(どうすればいいの?)まで深掘りされた良書でした。

ニュータイプの時代」ぜひ。

それではまた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です